無言の掟 

舞台の世界には、「無言の掟」  なるもの(明文化されてないけれど、この世界で共通に意識されているマナー、のようなものかな?理解していないと、白い目でみられることも怖)が存在します。

以下は、伊集院霞先生がご自分の主宰スタジオ「KASUMI DANCE STUDIO」で活動されていたときに、ご自身のホームページに書かれていたものを、ご承諾いただいて掲載させていただきました。

とてもわかりやすく書かれています。舞台に出る子は、よ~く読んで、頭に入れておこうね♪  

ステージ編

 

 

舞台を踏む人の心構えはプロもアマチュアも一緒ですよね。
初心者や趣味だからなんて区分けはありません。

せっかくダンスの世界の楽しさを知っているのだもの!
舞台だって、プライドを持って望もう!
 

    

注) このページはアマチュアの方の発表会などの舞台
を想定して書かれています。

商業ミュージカルだとか、プロの公演とは少し異なることも
ありますので、ご了承下さい。 

 

  

IN 楽屋

■ ホールに入ったらまず、全ての人に挨拶しよう。

→知らない人でも関係者であることが殆どです。
 「
おはようございます。よろしくお願いいたします。」と元気に言いましょう。

 先生には必ず自分が来ていることを知らせるためにも、ご挨拶に行きます。

 ■ 楽屋の化粧前(鏡の前の席)

→たいていは奥から目上の人が使います。
 入口近くはいつでも用事に出られるように一番下の後輩が使います。

 また、洗面台などがあって、ごちゃごちゃする場所は奥であってもあまり
 いい場所ではないので、自分が使うようにするといいでしょう。

 時々鏡の数が足りなくて、テーブルと椅子だけの場合もあります。
 そう言う時も、一人で荷物を広げすぎないようにします。

※ 目安として、同じナンバーを踊る人達と一緒にいると、自分の楽屋での
  場所が分かります。(ソリスト、群舞と部屋が違うこともありますが)

■ まず、衣裳をかけましょう。

→しわにならないように。ハンガーがない所も時々あるので、いくつか持っていると
 便利。衣裳の数が多い時は場所を一人でとらないように気を付けます。
 ハンガーの数とそこの楽屋を使う人の数、衣裳の数など、だいたい計算すると
 自分がどれくらいの場所とハンガーを使っていいか、分かります。

** 番外編「衣裳の持ち運び」 **

衣裳は借り物にしろ、自前にしろ、とても大事なものです。
外から見えるような紙袋などに無造作に入れたりしてはいけないの。
チュチュなど、引っかかりやすいものは特に専用の袋に入れた方がいいでしょう。
ジャズの衣裳で例えば自前の普段着のようなものでも、万が一汚したらこれも大変。
本番が終わるまでは借り物と同じように扱います。
「買って返せばいい」「弁償すればいい」という次元ではないものなんですよ。

■ 稽古着を着ます。

→時々(本当にまれですが)本番だからと、衣裳しか持ってこない人がいます。
 ストレッチやメイクの時はどおすんの?!って思いますが。笑

前あきのもの。かぶりものはお化粧がつくのでダメです。
 衣裳がかぶりの場合はタオルを頭からかぶってから衣裳を着ると口紅などつかずに着れます。

 本番用のタイツは衣裳を着る時に履いた方が本当は良いです。
 特にバレエのピンクタイツは汚れたら目立ちますよ。

衣裳を着たら飲食・トイレ・ストレッチは厳禁です!(重要!赤マルチェック!)

喫煙など以ての外!!

■ メイク道具を出す前に下にタオルなど敷いて、化粧品がこぼれても
  机が汚れないようにします。

→特に口紅やドーランは落ちにくいので、要注意!

■ My ゴミ袋があると便利。

→コットンや髪の毛、糸くずなど細かいゴミが案外出るものです。自分の化粧前の所に
 コンビニのビニールでも何でも良いので、セットしておくと散らかさずに済みますよ。

■ メイクをしたら外には出ない。

→ちょっと隣のコンビニへ、なんて絶対にいけません!
 それから開場したらロビーや客席には出てはいけません。

■ ストレッチは楽屋で大っぴらにしない!

→例えばそこの部屋が広くて、自分達のグループだけだとしたら様子を見ながら
 そこですることもありますが、他のグループの方と共用だったり、狭いようなら
 迷惑になるので止めましょう。

 ストレッチは客席の後ろかロビーか、スタッフさんなどのじゃまにならない所が
 あるのでそう言う場所でゆっくりやります。

■ 大声で話したり、馬鹿笑いをしたりしない。

→舞台当日は皆、テンションが上がっているので興奮してお喋りになったりします。
 でも、中には
神経を集中させて気持ちを静かに保ちたい人もいるでしょう。
 また、モニターからの音が聞こえないと出とちったりする原因になります。

■ 貴重品は持ってこない。

→お財布の中味も使わないカードや定期などは家に置いて来ます。
 現金は飲み物を買うお金や、帰りの電車賃くらいにして、それでもロッカーを
 利用したりして注意します。

楽屋荒らしって知ってる?・・・

 全然関係のない人が勝手に入って来ちゃうの。そしてフィナーレとか、
 写真撮影とか全員が舞台上に集まっている時を狙っている。

■ 携帯はマナーモードか留守番電話に設定します。

→チケットの受け渡しなどで、当日連絡待ちの人などいるでしょうから、電源は切れない
 でしょうが、楽屋の中にいる人に迷惑ばかりか、ステージが近いと音が聞こえたりします。

■ 本番が始まる前に先生のところへ行ってご挨拶。

→パラパラと数人ずつ行くと先生も忙しいのでご迷惑です。
 出来ればみんなで行って「
本番、よろしくお願いいたします。」などとご挨拶をします。
 3日ある場合などは「初日・・・」「千秋楽・・・」など言い換えます。

 終演後も同じく「お疲れさまでした。ありがとうございました。」のご挨拶は必ずしましょう。

■ 終演後の片づけはきちんとします。

→机や椅子は動かしたら元の通りに。掃除機やモップがあったらきれいにします。

 ゴミは持ち帰るか、所定の場所に楽屋ごとに集めたり指定されたようにします。

 メイクを落としたあとの洗面台はとても汚れています。
 必ずきれいにして次の人に明け渡します。

■ 化粧前の電気

→消し忘れがないように。つけた人が自分で責任を持って消します。

■ 楽屋見舞いに来て下さった方は様子を見て楽屋の中に入っていただくか
  外で話すか決めます。

→楽屋の入口がダンゴ状態になるとみんなの迷惑になります。

ONSTAGE

 ■ 舞台袖では喋らない。

→特に注意したいのが終わったあとです。
 時々「
あ~間違えちゃった!」などと引っ込みながら言う人がいます。
 緊張が解けてホッとするのでしょうがせめて舞台袖を離れて客席や舞台上に
 聞こえなくなった場所で言いたい人は言いましょう。

■ 袖幕には触らない。

→ちょっとやそっとでははずれないだろうと思っていませんか?
 それではもし、はずれてしまった時のことを想像して下さい。
 ね、恐ろしいでしょう?舞台はめちゃくちゃ、怪我人が出るかもしれません。
 もし、落ちないまでも、袖幕は客席からも勿論見えていますので、揺れるだけでも
 見苦しいものです。

■ 照明器具に気を付ける。

→照明器具は触ると火傷します。(触ったこと無いけど。笑)
 はけてきた時に一瞬目つぶし状態になり、入る幕を間違えるとサイドスポット
 に激突します。ゲネプロの時に充分出入りを確認しておきます。

 ホリゾンライトの位置も後ろを見なくても確認できるように、横の袖幕との位置関係
 から推測
して下がりすぎないようにします。(後ろを振り返ってはいけません。)

 スポットライトがまぶしかったら、直接見ないように視線をそらします。
 サイドスポットも見てはいけません。

■ 立ち位置の確認は前後左右の人との間隔と客席や非常口で見る

→素人さんになれている親切な舞台監督さんだと数字を舞台の前っ面にテープで
 書いてくれることもありますが、本番でいちいちその数字をみながら確認していたのでは
 ずっと下を向いて踊る羽目になります。

 前後や左右の人との間隔はお稽古場で練習しているのよりは広いことが多いでしょう。
 場当たりやゲネプロではそういうことを自分で確認するためにも踊りに必死になりすぎないように
 します。

 たいていのホールは
階段の通路が両サイドにありますから、シンメトリーに並ぶときはそれを
 目安にすると簡単です。
 また、
非常口はその延長線上にあるので、そこをみていれば下を向いてしまう癖も直り、
 一石二鳥ですよ。

■ 緞帳ラインより前に出ない。

→線が引いてあるわけではありませんがだいたい舞台の継ぎ目があったりするので分かります。
あまり前に出ると照明が当たりません。それからお辞儀などで頭を下げている時にそこにいると
 緞帳が脳天直撃します。爆! 

■ プログラムの3曲前にはスタンバイ、というのが常識ですが、それもケースバイケース。

→何曲も掛け持ちしているとそれでは間に合わないこともあれば、逆に袖が狭くてあまり関係のない
 人が沢山待っていると進行の妨げになることもあります。

 3曲前になったら衣裳やメイクを整えて、すぐにでも出られるように心づもりだけでも
 していれば間違いないでしょう。

■ 早替えの常識

→ナンバーが続いていて、袖で着替えなければならないこともあります。
 そういう時は現場で早替えの練習を必ずしておきましょう。

1.本番中その場所に灯りがあるか確認

・・・舞台上の灯り以外は全て消えると思いましょう。

2.そこで着替えて良いかどうか、舞台監督さんまたはスタッフさんに確認

・・・舞台装置の転換などでじゃまになったり、誰かが既に衣裳を置いていたりすることも。

3.衣裳は畳まない

・・・着る順番ごとにコンパクトにセット。パンツなどは足を入れやすいように
  脱いだままの形に作っておくと速いです。

4.アクセサリーなどがある場合はスタンド式の小さな鏡を一緒に置いておくと便利

5.全取り替えの場合、靴をまず脱ぐ

・・・これだけで5秒は違います。
  アクセサリーは最悪のことを考えて一番あとに。

6.あらかじめ早替え用に換えておく

・・・ジャズブーツのひもはゴムに。(髪用の太めのもの)
  ボタンは一度とってマジックテープにかえ、上からボタンをつけ直す。(ダミー)

7.手の空いている人に手伝いを頼んでおく

・・・ぎりぎりで一人では自信がない時、ゲネプロの時に、練習も一緒にしてもらいます。
  本番手伝えない人には頼まない。(結構盲点なんだな、これが)

 

■ 袖にいる時に客席が見えたら、向こうからも見えています。

→いわゆる「見切れている」状態。
 袖幕の間で待つ場合、
前側の幕の裾の方にいると上手く隠れられます。

■ 舞台の上の立ち位置まで行くのにどのくらい音を使うか逆算して出る。

→おそらく稽古場で練習しているよりも4歩以上(または4カウント以上)
 前から出るとちょうどいいかもしれません。

■ 自分が先頭ではける場合は人数に応じて出来るだけ奥まではける。

→自分は完全に袖の中でもあとからはけてくる人の為に足をとめずに奥まで進みます。

■ もしもアクセサリーがはずれたら・・・

→じゃまにならないようならそのまま踊り続けますが、出来る限り暗転になったら
 拾ってはけるようにします。
 自分で拾えなかった場合は舞台監督さんにお願いします。(その方が安心かな?)

 ピアスなどはそのままにしておくと足に刺さったりして危険です。

 もし余裕があったら踊りながら足で蹴って袖幕の中へ入れます。(客席には落とさないでね!)

** ワンポイントアドバイス **

 大きなイヤリングはカーペットなどにも使えるような厚手の両面テープを使うと回ってもとびません。
 また、真ん中に穴のあいた
魚の目パッドを耳の裏側に貼っておいて、その中にイヤリングのネジ
 をとめるとはずれにくいですよ。

■ もしも本番中靴のひもがほどけたら・・・

→トゥシューズなら踊り続けるのは不可能だし、他の人にも危険です。
 目立たないように一度袖に引っ込みましょう。

 ☆そんなことにならないようにトゥシューズのひもは糸でとめておくのが常識!


何だか自分の生徒に言ってるみたいに

なっちゃったけど、どうでしたか?

何か参考になることがあったら嬉しいです 

 


 

 

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